コラム

2016/12/20

鎌倉幕府の始まりはいつ?

中学生が「学校で、実は鎌倉幕府は1192年ではなく、1190年に成立したと教わった」というので、

ついつい「いや、1185年が一般的じゃないの?」とツッコミを入れてしまったのですが、

鎌倉幕府の成立時期については非常に面倒なものがあります。

 

 

そもそも1192年って何?

「良い国作ろう鎌倉幕府」で広く知られるこの年は、源頼朝が征夷大将軍に任じられた年です。昔はこの年に幕府が始まることされたのですが、困ったことに、征夷大将軍になったから権限を獲得したのではなく、すでに権限があってその飾りのようなもとして官職に任じられただけなのです。先日来日したどこぞのロシア人と同じで「大統領だから権限がある」のではなく、「もともと権力のある人が、たまたま大統領だった。」みたいなもの。

 

じゃあ、いつから権限を手に入れたかがややこしい話で、侍所の設置年である1180年だとする説から、「文治の勅許」で守護・地頭の設置を認められた1185年とする説(これが一般的)、右近衛大将に任じられて「幕府」を開く権利を得た1190年である説、まあ色々とあります。たしかに吾妻鏡や御成敗式目には頼朝のことを「右大将家」と書いていますが、だからといって1190年ってどうなんでしょうね。朝廷から権限をもらったというより、頼朝が獲得していった権限を追認させたが近いような・・・

 

ついでに滅亡の話。

成立はややこしいのに、滅亡については意外に簡単です。1333年、新田義貞の攻撃によって鎌倉が陥落した時点で、北条一門のほとんどが切腹し将軍も辞任したので、この年で良いんじゃないでしょうか。ちょっと面倒なのは、室町幕府が成立するのいつなのか、という話です。1333年に室町時代が始まればいいのにそうはならず、1336年(建武式目の制定・それと尊氏の権大納言任官)または1338年(征夷大将軍に就任)とされています。しかし、それよりも滅亡時が輪をかけてややこしい。

 

 

本能寺のあとも生き残る足利義昭

一般的には「以後涙の室町幕府」ということで、1573年に足利義昭が織田信長によって京都から追放された年とします。ところが、この義昭、実は解官されていないのです。公卿補任という朝廷の任官記録を見ますと、「権大納言 従三位 源義昭 征夷大将軍」と、しぶとく生き残っています。

 

天正五年(1577年)に「他界云々」と、いったん行方不明扱いされて削除されるのですが、本能寺の変後に復活します。天正十年(1582年)には「征夷大将軍。在国。」と書かれており、その横には「従三位 平秀吉」が並ぶというシュールさ。天正十五年には、平(織田)信雄とか源(徳川)家康とかに抜かれていくものの、「従三位 征夷大将軍」はキープです。ついに天正十六年(1588年)には引退記事が載りますが、それまで15年も将軍として活動していたわけですよ。

 

さらにこのおっさん、何気に小田原の陣に「室町殿」として奉公衆を率いて参陣してたり、肥前名護屋城まで出張っていたりと、引退後もなかなかに元気なご様子。まあ無理して出陣したため、病気が悪化して亡くなっちゃうんですが。

 

 

そういえば最後の将軍もそうだった。

江戸幕府は、さらにややこしいです。

一応、1867年の大政奉還で滅亡したと考えるのが一般的なのでしょうが、実は大政奉還した日と征夷大将軍辞職が認められた日(王政復古の大号令による)が微妙に異なっています。さらに面倒なことに、辞任した日は西暦では年をまたいでしまう。辞任の日付は慶応31210日(186817日)、つまり慶喜が将軍をやめた日を幕府滅亡の年とするならば、西暦では1868年になる。なんてヤヤコシイ。しかも将軍は辞めたが、自称「上様」とか言い出して、諸外国の公使と会見して神戸開港を確約しており、江戸幕府はトップから政治機構・軍事力に至るまで、この時点では健在なのです。結局、鳥羽伏見で負けたあと、江戸城明け渡しの日が幕府の終焉なんでしょう。

 

さて、この慶喜もなかなかに元気な人です。亡くなるのは大正に入ってからで、1913年のこと。第一次世界大戦の直前まで生きていたわけです。しかも亡くなった理由が、何かのお礼言上に、風邪気味なのに調子に乗って参内して、肺炎をこじらせた結果というから、無理に参陣して亡くなった足利義昭に似てなくもないですね。

 

 
授業のときはどうするの?

細かいことを言うとみなさん混乱をするので、ちゃんと教科書に忠実にやります。(たまに余計なことを言いますが。)

したがって一般的に、

鎌倉幕府→1192年~1333

室町幕府→1338年~1573

江戸幕府→1603年~1867

と教えています。こんな無駄話してたら授業が終わりませんって。

 

 

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