コラム

2016/08/11

社会のお勉強の仕方

意外に勉強の仕方が分からない人が多いようですが、抽象的に言えば、「全体観をつかんでから、細部に手を入れる」です。例えて言えば、絵を描いたり、囲碁をしたりするのと同様で、まず全体を見て配置を考える、というところ。

 

私は、地図で道案内をするのと似ている、という言い方もします。
自宅から駅までの道案内をするとして、覚えなければいけないのは、目的地の目印とか、曲がったりする要所であって、途中の自動販売機のメーカーとジュースの種類ではない、ということ。

 

このイメージがないと、地理にしても歴史にしても勉強の方向性を間違えます。

 

 

たとえば歴史の勉強だったら

まず、時代区分の大枠を覚えなければいけません。
江戸時代と平安時代のどちらが前にあるのか分からないレベルで、細かい鎌倉時代の歴史を勉強したところで意味がありません。
上の例でいえば、目印も分からないのに、「途中の自動販売機でおしるこが売ってる」と覚えても、目的地には着けないわけです。
この点、「予習シリーズ」などの塾教材は扱いが難しいのでして、辞書のようにやたら細かいことは載っているが、何を優先して覚えたらよいか分からない、ということがあります。
そこで、「何を勉強したらいいのか」というのが問題になります。

 

この点を簡単に言えば、「限定すること」です。
大手塾ですと、塾内テストの関係上、何もかも教えておかないと「テスト範囲なのに授業で触れていないじゃないか!」とクレームになりますから、範囲を限定せず、それこそ源頼朝も頼家も北条義時も同じトーンで教えることがあるのですが、これをある程度無視して、覚えないこと。細かいことは後で良いんです。
塾の先生で、やたらと詳しい資料を配ったりすることがありますが、配る相手のレベルを考えていないとしたら困りものです。
某塾ですと、時事問題のプリントを作成したりするようですが、これはとんでもない。

源頼朝を知らないのにイギリスの新首相はメイと覚えても中学校で役に立ちません。

 

入試問題で時事を出題するのは興味関心を持った子どもに加点したいからだけであって、興味もなければ基礎学力もない子が来ても、中学校側は困るのです。まあ、基礎も放置して時事問題の暗記に血道をあげているとしたら合格はおぼつかないでしょうが・・・

難しいことを知っている先生が良い先生と誤解されがちですが、難しいことを簡単に説明する先生こそ貴重でしょう。

 

学校の検定教科書をバカにしないこと。

次に、小学校・中学校の学校教科書を基準にして勉強すること。
中学受験をする小学生は、たいてい小5で歴史を習いますから、小学校の勉強を甘く見て、適当に流します。

たしかに桓武天皇は出てこないし、足利尊氏って誰?ってレベルだし、記述内容は確かに薄い。
しかし、その結果、小6になって塾の内容は当然覚えておらず、学校の授業範囲でさえ覚えていない、というお子さんが出てきます。
そして訳の分からないまま、夏休みで一所懸命単語を「書いて覚える」という愚行をすることになる。
こうして「歴史はつまらない」「難しくてもういやだ」という人が量産されていきます(とくに女子)。

 

中学生も同様でして、小学校該当範囲の歴史が全く理解できていないのに、急に中学校レベルの勉強を端から詰め込もうとするから意味が分からなくなる。
中学生はさらに「世界」のお話がより詳しくなりますが、世界地理が分かっていないと世界の歴史も分からない。
フランスとドイツが隣にあるという事実を知らないのに、フランスとドイツが仲が悪いと言われても意味が分かるはずもありません。

社会の苦手なお子さんは、基礎的なことを大雑把に流しながら覚えていくのが良いのではないでしょうか。

 

書いて覚えるは暗記の一手段

それから、社会の勉強で書いて覚えるという間違った学習法が流行しているのですが、これはいい加減何とかならんのでしょうか。
たとえば、ポケモン100匹言える小学生が、書いて覚えますか?
ガンダムのモビルスーツを覚えるのに「ザク・ザク・ザク、100回書け!」いませんね。

「ラオウ・ラオウ・ラオウ」とか書いてあったら気でも狂ったのかと思いますよ。いや、それはそれで面白いけど。

 

それはそれとして、自分自身の経験で考えても、たとえば三国志の武将を覚えるのに「書いて覚える」なんて人、聞いたことがありません。
戦国時代だってそう。出世魚みたいにやたらと名前が変わる人がいますが、それだって書いて覚えますか?
何万編も書き写すと極楽浄土に行けるって、写経じゃないんだから・・・

「好きだから覚えられるだけでしょ!」なんて反論がありそうですが、

だったら興味を持てるように面白い話をしてあげればいいんじゃない?と再反論をしてみます。

「面白い」と言っても、きちんとした知識に基づいて本質を間違えてはいけないのですが。

 

それに、書くことをすべて否定するという過激なことは言いません。
自分の考えをまとめたり、他人に伝えようと思えば文章化する必要があります。

また、漢字練習だけは、手を動かして書かないと話にならないでしょう。

 

とはいえ、それは暗記の一手段であって、別のもっと楽なやり方もある、ということを少しは頭の片隅に置いておくべきでしょう。

 

ちなみに、私は授業中に常に口頭試問を繰り返すことで覚えてもらっています。

むかし、個別1対1で「口頭試問」をやっていたら、ある先生から「まるで尋問のようだ・・・」と若干引かれてしまったこともあるのですが。

 

 

 

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