コラム

2016/09/06

小4の学習の進め方

 

中学受験をする場合、4年生から塾に通うことが一般的ですが、以前にもちょろっと書きましたが、「4年生の最初から」が必須かというとそうでもありません。他に優先させたい習い事があるならば、5年生くらいまでならそっちを優先で構いません。なぜかというと、「小5ギャップ」というのがありまして、中学受験の学習内容は小5から質的に難しくなるのですが、多くの場合は対応ができていないため、早くから通わせる価値がほとんどないからです。

 

また、「小4の壁」というのもありまして、この点にも注意して教えていかないと学習効果は期待できないのですが、これにも対応できていないように思います(というかそれ自体知らないかもしれない)。

 

 

4年生で教えなくてはいけないこと】

一言でいうなら、学習姿勢や考え方を身につけること、それから基本的な知識を覚えることです。4年生のうちは抽象的思考に慣れていませんから、簡単なことで十分。

 

まず「学習姿勢」ですが、「姿勢を正して一つせず謹聴!」という意味では全くなく、たとえば「君の答えの根拠はどこにあるの?」ということに答えられること、です。あるいは質問に正しく答えられること。正しい答えを言えるということではなく、「今日は何曜日ですか?」に対して「親方!空から女の子が!」などという訳の分からない答えを返さないこと。別に正解を答えられなくても、最低でも「○曜日」「わかりません」と答えられるだけで良いのです。いずれも大人からすれば当たり前のことですが、それができるようになるのが案外難しい。

 

次に「考え方」というのは、たとえば算数なら分数の意味が分かることとか、簡単なつるかめ算が解けることとか、その程度です。予習シリーズなどの教材を全部こなせないといけないと勘違いされる方がよくいますが、あんなもん、基本問題が解ければそれで十分でで、残りなんぞ放っておいても害はありません。応用問題などといっても、テキスト構成上、載せないと薄すぎるから載せているだけであって、4年生の時点で必要不可欠というものでもありません。何もかもやりきろうとして挫折するようなことは避けた方が良いでしょう。適当でいいんです。

 

今週の内容であれば、「28の約数は何個ですか?」という公約数の問題が出てきますが、「22×7だから、3×26個」なんてのも教える必要はありません。場合の数も分かっていないのに、公式だけ教えることに意味はないですし、むしろ公式とかやり方だけを暗記するだけのアホ算数が身についてしまいます。4年生のあいだは、手を動かして公約数を全部数えるという作業をした方が良いでしょう。難関中では、やり方を自分で探りながら解くような出題がされます。変な公式を暗記して解くのではなくて、手を動かして解くような習慣は、早いうちから身につけておくべきです。

 

さて、最後に「基本的な知識」です。

社会と理科に顕著なのですが、「4年生でしか扱わない知識」も入試で出題されます。たとえば理科ならば「紅葉で赤くなる葉っぱや黄色くなる葉っぱ」とか「春の七草」とかです。また、社会ならば、5年生以降ではあまり扱ってもらえない都道府県知識なども覚えておくと5年生以降楽ですね。

 

 

【実は通わせた方が良いんじゃないか?】

こう書いていくと、4年生から通わせないとまずいんじゃないかと思われるかもしれませんが、残念ながらこういう基本動作を教えることのできる塾はまずありません。その一つの理由は、ベテランが担当しないからです。よほど人に恵まれていれば別ですが、大抵は大学生が低学年を教えています。理由は簡単で、ベテランで有能な人は6年生に優先的に配備されることと、4年生の内容は簡単だから誰にでもできると思われていることです。とりわけ優秀な先生だと、移動して複数校舎の小6を見ることになりますので、まず4年生には回ってこないでしょう。

 

じゃあ、なんで大手塾が4年生から募集するのかといえば、純粋に経営的な問題です。四谷大塚がすっかり没落して久しいですが、この原因になったのがSAPIXの「青田刈り」です。5年生からのカリキュラムを組んでいた四谷大塚は、生徒の供給源を奪い取られて没落したという歴史がありまして、「低学年を制すれば天下を制する!」とばかり奪い合いを演じた結果、「4年生から」というのが一般化しただけです。四谷大塚は巻き返しとばかり3年生以下のリトルの強化をしたのですが、結局、4年生からはSAPIXに行ってしまうので頭が痛いとか何とか。

 

というわけで、4年生から通わせることに全く無意味とまでは言いすぎでしょうが、あまり役に立たないんじゃないかなあとも思います。ちなみに、石神井セミナーは違いますよ(笑)。

 

 

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進学塾石神井セミナー
http://www.shakujii-seminar.com/
住所:東京都練馬区石神井町2-33-27
TEL:03-5923-9440
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