コラム

2016/09/10

中学入試:過去問はどうすればいいのか?(2)

続きです。

具体的にどう解いていくのかですが、こういうと丸投げですが、まずは塾の先生に聞いてください。塾を信頼してアドバイスをもらうのが一番です。信頼できない場合どうするんだと言われると困るのですが、そんなら最初からそんなとこ通わないで下さいよなんて不毛な話になりますので、もう信用すること前提です。

 

とにかく、余計な意見をもとに、あっちへふらふら、こっちへふらふらという勉強法はアウト。ここでは一般的なことを書いておきます。

 

【始める時期はいつから?】

9月以降です。4科目とも、ある程度の知識がある状態で解き始めないと意味がありません。早ければ早いほどいいと、いきなり小6の4月くらいから始めてしまう無茶な人もいますが、これはダメ。単元学習が終わっていないのにやるのは無駄です。たとえば、地理も歴史も終わっていない状態で社会の過去問をやったって、できるわけがない。

 

夏休みが終われば、一応、すべての単元学習は終わっていますので、過去問に取り組む意味が出てきます。10月までに1回は、必ずやらせるようにした方が良いでしょう。リアルな点数が出て自分が受からない可能性を認識するのが怖くなって、全く手をつけないというお子さんがいますが、12月になってやってみて、ボロボロでもう絶望感しかない・・・という状況を避けるためにも、早いうちに手をつけていきましょう

 

【時間を計ること】

入試では、時間内に7割程度とること目標です。延々と考え続けて満点を取ることに意味はありません。「これは捨てる」「こっちが先」「これは後回し」など、短時間で判断をする必要があります。「納得いくまで自分のアタマで考える」という、本来の学習姿勢とは異なるものになりますが、入試ではどうしても時間との勝負になりますから、制限時間内で成果を出すということを常に意識しなくてはなりません。

 

 

【答案は他人に見せること】

良い点数を取れば親が安心すると思って、「インチキ採点」をするお子さんがいます。自覚的に嘘を申告する場合もあるのですが、むしろ無自覚にやるから注意です。つまり、本来は0点なのに、勝手に部分点を設定するとか、あわせて4点なのに、1つあっているから1点とか、ちょっと惜しいから△だとか、微妙に点数をかさ上げする。

 

だから、採点については誰か他人が関わるようにすることです。塾の先生に提出して確認してもらうなどの対応を。なお、記述については、絶対に添削をしてもらうべきです。特に国語については、解答と全く違っても正解であることがあるので、ベテランの国語の専任講師に見てもらうしかありません。

 

蛇足ながら、過去問集の国語の解答は全くあてになりません。学校が公式発表していればいいのですが、そうでない場合は、出版社によって全く違うということもあります(記号ですら!)。だから、国語の採点だけは必ず塾にお願いをしましょう。これは出版社がアホだという意味ではなく、それだけ難しいというか紛れのある出題をする方がどうかしているのです。

 

くどいですが、国語の記述は塾の先生に。文章は他人からボコボコに叩かれないと上達しません。いや、だからと言って私の駄文をボコボコに叩かないでくださいね。

 

 
【算数は見直しをきちんとすること】

過去問をたくさん解きなさいといいますと、今度は解けばいいだろうとばかり、数だけこなそうとするお子さんがでてきます。これもダメ。私が直接見ていなかった子ですが、21日になって、一度やっているにもかかわらず、第一志望校のものがほとんどできないお子さんを見たことがあるのですが、こうなると本当に絶望しかありません(当然、不合格)。

 

そうならないためにも、解き終わったら満点答案をつくること。さらにいえば、一回で満足せず、3回くらい繰り返すと良いでしょう。どんなに難しい問題でも、さすがに3回もやればできるようになってきます。そうやって、何年分も解いていくことが合格への近道です。もちろん、解答を暗記しろということではなくて、一つ一つ理解していきましょうという意味です。直しには長い時間をかけても構いません。

 

 

【理科と社会は?】

これも過去問対策が有効なのですが、一つ注意点があるとすれば、時事問題については気にしないということです。たとえば、「今年のサミットはどこで開かれましたか? 答:洞爺湖」っていつの話だよってなります。あるいは、「次の中から世界遺産になっていないものを選びなさい。ア平泉、イ白神山地、ウ厳島神社、エ姫路城」とか(当時はアが正答でも、現在では答えがない)。「今年のノーベル賞で、クロスカップリングで受賞したの誰?」「答:根岸英一」小学生にはもう歴史です(笑)。

 

また、ちょっと古いだけで統計がとんでもないことになっていることもあります。たとえば、2011年とそれ以降では原子力発電の割合が全く違います。ただし、それ以外の歴史の部分ならば、よほどの大発見(『親魏倭王』の金印が見つかった)とか、大捏造(ゴッドハンド)がない限り、同じようなものが出題されますので、十分対策にはなるでしょう。社会と比べれば、理科はもっと安定しています。まあ、教科書改訂に伴って、一斉に「手回し発電機」を出題されたりするのですが、それでも過去問が全く無意味ということはありません。

 

 

【まとめ】

まとめです。

  • まずは通っている塾でやり方を聞く。
  • 時間を計り、得点は記録する。
  • 算数・理科・社会は何度か解きなおす。算数が最優先で、満点が取れるまで繰り返すべし。
  • 国語は1回で十分。ただし、記述は絶対に塾の先生に見てもらうこと。答えだけを見て適当に採点するのは×。
  • 時期は9月以降で良いが、12月までには最低でも過去4年分くらいは一周しておく。

 

こんなところですね。

 

ここまで書いておいてナニですが、これは一般的な学校に対する勉強法です。超難関校の場合は若干異なるので、お気をつけください。本当に頭の良い子を取りたい学校は、自校の過去問にこだわらず、本当にできる子を選抜する問題を出します。このレベルのお子さんは、横に広く、他の超難関校(関西なども含め)の問題を多く解く必要があるでしょう。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
進学塾石神井セミナー
http://www.shakujii-seminar.com/
住所:東京都練馬区石神井町2-33-27
TEL:03-5923-9440
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
 

このページのトップへ