コラム

中学入試:過去問はどうすればいいのか?(2)

続きです。

具体的にどう解いていくのかですが、こういうと丸投げですが、まずは塾の先生に聞いてください。塾を信頼してアドバイスをもらうのが一番です。信頼できない場合どうするんだと言われると困るのですが、そんなら最初からそんなとこ通わないで下さいよなんて不毛な話になりますので、もう信用すること前提です。

 

とにかく、余計な意見をもとに、あっちへふらふら、こっちへふらふらという勉強法はアウト。ここでは一般的なことを書いておきます。

 

【始める時期はいつから?】

9月以降です。4科目とも、ある程度の知識がある状態で解き始めないと意味がありません。早ければ早いほどいいと、いきなり小6の4月くらいから始めてしまう無茶な人もいますが、これはダメ。単元学習が終わっていないのにやるのは無駄です。たとえば、地理も歴史も終わっていない状態で社会の過去問をやったって、できるわけがない。

 

夏休みが終われば、一応、すべての単元学習は終わっていますので、過去問に取り組む意味が出てきます。10月までに1回は、必ずやらせるようにした方が良いでしょう。リアルな点数が出て自分が受からない可能性を認識するのが怖くなって、全く手をつけないというお子さんがいますが、12月になってやってみて、ボロボロでもう絶望感しかない・・・という状況を避けるためにも、早いうちに手をつけていきましょう

 

【時間を計ること】

入試では、時間内に7割程度とること目標です。延々と考え続けて満点を取ることに意味はありません。「これは捨てる」「こっちが先」「これは後回し」など、短時間で判断をする必要があります。「納得いくまで自分のアタマで考える」という、本来の学習姿勢とは異なるものになりますが、入試ではどうしても時間との勝負になりますから、制限時間内で成果を出すということを常に意識しなくてはなりません。

 

 

【答案は他人に見せること】

良い点数を取れば親が安心すると思って、「インチキ採点」をするお子さんがいます。自覚的に嘘を申告する場合もあるのですが、むしろ無自覚にやるから注意です。つまり、本来は0点なのに、勝手に部分点を設定するとか、あわせて4点なのに、1つあっているから1点とか、ちょっと惜しいから△だとか、微妙に点数をかさ上げする。

 

だから、採点については誰か他人が関わるようにすることです。塾の先生に提出して確認してもらうなどの対応を。なお、記述については、絶対に添削をしてもらうべきです。特に国語については、解答と全く違っても正解であることがあるので、ベテランの国語の専任講師に見てもらうしかありません。

 

蛇足ながら、過去問集の国語の解答は全くあてになりません。学校が公式発表していればいいのですが、そうでない場合は、出版社によって全く違うということもあります(記号ですら!)。だから、国語の採点だけは必ず塾にお願いをしましょう。これは出版社がアホだという意味ではなく、それだけ難しいというか紛れのある出題をする方がどうかしているのです。

 

くどいですが、国語の記述は塾の先生に。文章は他人からボコボコに叩かれないと上達しません。いや、だからと言って私の駄文をボコボコに叩かないでくださいね。

 

 
【算数は見直しをきちんとすること】

過去問をたくさん解きなさいといいますと、今度は解けばいいだろうとばかり、数だけこなそうとするお子さんがでてきます。これもダメ。私が直接見ていなかった子ですが、21日になって、一度やっているにもかかわらず、第一志望校のものがほとんどできないお子さんを見たことがあるのですが、こうなると本当に絶望しかありません(当然、不合格)。

 

そうならないためにも、解き終わったら満点答案をつくること。さらにいえば、一回で満足せず、3回くらい繰り返すと良いでしょう。どんなに難しい問題でも、さすがに3回もやればできるようになってきます。そうやって、何年分も解いていくことが合格への近道です。もちろん、解答を暗記しろということではなくて、一つ一つ理解していきましょうという意味です。直しには長い時間をかけても構いません。

 

 

【理科と社会は?】

これも過去問対策が有効なのですが、一つ注意点があるとすれば、時事問題については気にしないということです。たとえば、「今年のサミットはどこで開かれましたか? 答:洞爺湖」っていつの話だよってなります。あるいは、「次の中から世界遺産になっていないものを選びなさい。ア平泉、イ白神山地、ウ厳島神社、エ姫路城」とか(当時はアが正答でも、現在では答えがない)。「今年のノーベル賞で、クロスカップリングで受賞したの誰?」「答:根岸英一」小学生にはもう歴史です(笑)。

 

また、ちょっと古いだけで統計がとんでもないことになっていることもあります。たとえば、2011年とそれ以降では原子力発電の割合が全く違います。ただし、それ以外の歴史の部分ならば、よほどの大発見(『親魏倭王』の金印が見つかった)とか、大捏造(ゴッドハンド)がない限り、同じようなものが出題されますので、十分対策にはなるでしょう。社会と比べれば、理科はもっと安定しています。まあ、教科書改訂に伴って、一斉に「手回し発電機」を出題されたりするのですが、それでも過去問が全く無意味ということはありません。

 

 

【まとめ】

まとめです。

  • まずは通っている塾でやり方を聞く。
  • 時間を計り、得点は記録する。
  • 算数・理科・社会は何度か解きなおす。算数が最優先で、満点が取れるまで繰り返すべし。
  • 国語は1回で十分。ただし、記述は絶対に塾の先生に見てもらうこと。答えだけを見て適当に採点するのは×。
  • 時期は9月以降で良いが、12月までには最低でも過去4年分くらいは一周しておく。

 

こんなところですね。

 

ここまで書いておいてナニですが、これは一般的な学校に対する勉強法です。超難関校の場合は若干異なるので、お気をつけください。本当に頭の良い子を取りたい学校は、自校の過去問にこだわらず、本当にできる子を選抜する問題を出します。このレベルのお子さんは、横に広く、他の超難関校(関西なども含め)の問題を多く解く必要があるでしょう。

 

 

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中学入試:過去問はどうすればいいのか?(1)

 

志望校の過去問をやることが重要なのは誰でも分かっていることですが、なぜ?という基本的な点と、具体的にどうするのか、という話を少し書いてみます。

 

 

【そもそもなぜ入試が行われるのか?】

私立中は、その校風にあった子たち、あるいは自分たちの教育についてこられる子たちに入学してほしいからです。たとえば、「入学後はたくさん文章を書かせますよ」という学校であれば記述が増えるでしょうし、「国語でたくさん読んでもらいます」という学校であれば国語の文章量が多くなる。つまり、求めている基礎学力があるかどうかを見たい、ということです。

 

志望者が多すぎるので、単にふるい落とすだけの入試をする場合もあるのでしょうが、たいていの私立中はそんな馬鹿なことはしていません。そんな選抜をしても、お互いが不幸になるからです。

 

 

【では、なぜ過去問をやっておくことが必要なのか】

入試の目的を考えると、過去問対策とは「入学後に勉強についていける学力を身につけること」になります。では、その学校が望むものは何なのか。抽象的なことはパンフレットでも説明会でも話してくれるでしょうが、具体的なことは入試問題として出題されています。だから、何が望まれているのかを知るためには、過去の入試問題を研究していくしかない、ということになります。

 

「求める生徒像」というのは、そうそう大きく変わるものではありません。男女共学化などの極端な変化があれば別ですが、毎年同じような出題をすることになります。求められているハードルをクリアしているかどうかは、過去問を見て判断していくしかありません。

 

 

 【いささか功利的になりますが】

どんな私立中も、「第一希望の子が多く入ってほしい」と思っています。これは自分のとこに入りたいと思っている子なら入れてあげたいなあという感情面の理由もあるのですが、「入った後で指導しやすい」という功利的な理由もあります。

 

第二志望以下で入ってくると、先生の指導もきちんと聞かない、友達関係もうまくいかない、そんなお子さんも出てきてしまいます。せっかく能力のある子に入ってきてもらっても、「スタートから学校が嫌い」では指導がやりにくい。だから、多くの私立中は第一志望の生徒を多く獲得するため、2/1の募集数を増やすとか、連続受験で優遇するとか、色々な作戦を立てている。

 

その作戦の一環として、入試問題に学校を好きな子を取るための罠が仕掛けられていることもあります。たとえば創立者の名前を出すとか(サレジオのドン・ボスコとか、農大の榎本武揚とか、山脇の山脇房子も出たことがあったか)、「修学旅行先はどこ?」とか、「体育館の横には何の植物がある?」などのワケの分からないものもあります。これは事実上の加点制度と言っていいでしょう。ちょっと本筋からはそれますが、過去問を解いていれば、そういう裏?の加点制度にも気づくことができる、ということです。

 

長くなってしまったので、具体的にどう解いていくのかは次で。

 

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小4の学習の進め方

 

中学受験をする場合、4年生から塾に通うことが一般的ですが、以前にもちょろっと書きましたが、「4年生の最初から」が必須かというとそうでもありません。他に優先させたい習い事があるならば、5年生くらいまでならそっちを優先で構いません。なぜかというと、「小5ギャップ」というのがありまして、中学受験の学習内容は小5から質的に難しくなるのですが、多くの場合は対応ができていないため、早くから通わせる価値がほとんどないからです。

 

また、「小4の壁」というのもありまして、この点にも注意して教えていかないと学習効果は期待できないのですが、これにも対応できていないように思います(というかそれ自体知らないかもしれない)。

 

 

4年生で教えなくてはいけないこと】

一言でいうなら、学習姿勢や考え方を身につけること、それから基本的な知識を覚えることです。4年生のうちは抽象的思考に慣れていませんから、簡単なことで十分。

 

まず「学習姿勢」ですが、「姿勢を正して一つせず謹聴!」という意味では全くなく、たとえば「君の答えの根拠はどこにあるの?」ということに答えられること、です。あるいは質問に正しく答えられること。正しい答えを言えるということではなく、「今日は何曜日ですか?」に対して「親方!空から女の子が!」などという訳の分からない答えを返さないこと。別に正解を答えられなくても、最低でも「○曜日」「わかりません」と答えられるだけで良いのです。いずれも大人からすれば当たり前のことですが、それができるようになるのが案外難しい。

 

次に「考え方」というのは、たとえば算数なら分数の意味が分かることとか、簡単なつるかめ算が解けることとか、その程度です。予習シリーズなどの教材を全部こなせないといけないと勘違いされる方がよくいますが、あんなもん、基本問題が解ければそれで十分でで、残りなんぞ放っておいても害はありません。応用問題などといっても、テキスト構成上、載せないと薄すぎるから載せているだけであって、4年生の時点で必要不可欠というものでもありません。何もかもやりきろうとして挫折するようなことは避けた方が良いでしょう。適当でいいんです。

 

今週の内容であれば、「28の約数は何個ですか?」という公約数の問題が出てきますが、「22×7だから、3×26個」なんてのも教える必要はありません。場合の数も分かっていないのに、公式だけ教えることに意味はないですし、むしろ公式とかやり方だけを暗記するだけのアホ算数が身についてしまいます。4年生のあいだは、手を動かして公約数を全部数えるという作業をした方が良いでしょう。難関中では、やり方を自分で探りながら解くような出題がされます。変な公式を暗記して解くのではなくて、手を動かして解くような習慣は、早いうちから身につけておくべきです。

 

さて、最後に「基本的な知識」です。

社会と理科に顕著なのですが、「4年生でしか扱わない知識」も入試で出題されます。たとえば理科ならば「紅葉で赤くなる葉っぱや黄色くなる葉っぱ」とか「春の七草」とかです。また、社会ならば、5年生以降ではあまり扱ってもらえない都道府県知識なども覚えておくと5年生以降楽ですね。

 

 

【実は通わせた方が良いんじゃないか?】

こう書いていくと、4年生から通わせないとまずいんじゃないかと思われるかもしれませんが、残念ながらこういう基本動作を教えることのできる塾はまずありません。その一つの理由は、ベテランが担当しないからです。よほど人に恵まれていれば別ですが、大抵は大学生が低学年を教えています。理由は簡単で、ベテランで有能な人は6年生に優先的に配備されることと、4年生の内容は簡単だから誰にでもできると思われていることです。とりわけ優秀な先生だと、移動して複数校舎の小6を見ることになりますので、まず4年生には回ってこないでしょう。

 

じゃあ、なんで大手塾が4年生から募集するのかといえば、純粋に経営的な問題です。四谷大塚がすっかり没落して久しいですが、この原因になったのがSAPIXの「青田刈り」です。5年生からのカリキュラムを組んでいた四谷大塚は、生徒の供給源を奪い取られて没落したという歴史がありまして、「低学年を制すれば天下を制する!」とばかり奪い合いを演じた結果、「4年生から」というのが一般化しただけです。四谷大塚は巻き返しとばかり3年生以下のリトルの強化をしたのですが、結局、4年生からはSAPIXに行ってしまうので頭が痛いとか何とか。

 

というわけで、4年生から通わせることに全く無意味とまでは言いすぎでしょうが、あまり役に立たないんじゃないかなあとも思います。ちなみに、石神井セミナーは違いますよ(笑)。

 

 

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社会のお勉強の仕方

意外に勉強の仕方が分からない人が多いようですが、抽象的に言えば、「全体観をつかんでから、細部に手を入れる」です。例えて言えば、絵を描いたり、囲碁をしたりするのと同様で、まず全体を見て配置を考える、というところ。

 

私は、地図で道案内をするのと似ている、という言い方もします。
自宅から駅までの道案内をするとして、覚えなければいけないのは、目的地の目印とか、曲がったりする要所であって、途中の自動販売機のメーカーとジュースの種類ではない、ということ。

 

このイメージがないと、地理にしても歴史にしても勉強の方向性を間違えます。

 

 

たとえば歴史の勉強だったら

まず、時代区分の大枠を覚えなければいけません。
江戸時代と平安時代のどちらが前にあるのか分からないレベルで、細かい鎌倉時代の歴史を勉強したところで意味がありません。
上の例でいえば、目印も分からないのに、「途中の自動販売機でおしるこが売ってる」と覚えても、目的地には着けないわけです。
この点、「予習シリーズ」などの塾教材は扱いが難しいのでして、辞書のようにやたら細かいことは載っているが、何を優先して覚えたらよいか分からない、ということがあります。
そこで、「何を勉強したらいいのか」というのが問題になります。

 

この点を簡単に言えば、「限定すること」です。
大手塾ですと、塾内テストの関係上、何もかも教えておかないと「テスト範囲なのに授業で触れていないじゃないか!」とクレームになりますから、範囲を限定せず、それこそ源頼朝も頼家も北条義時も同じトーンで教えることがあるのですが、これをある程度無視して、覚えないこと。細かいことは後で良いんです。
塾の先生で、やたらと詳しい資料を配ったりすることがありますが、配る相手のレベルを考えていないとしたら困りものです。
某塾ですと、時事問題のプリントを作成したりするようですが、これはとんでもない。

源頼朝を知らないのにイギリスの新首相はメイと覚えても中学校で役に立ちません。

 

入試問題で時事を出題するのは興味関心を持った子どもに加点したいからだけであって、興味もなければ基礎学力もない子が来ても、中学校側は困るのです。まあ、基礎も放置して時事問題の暗記に血道をあげているとしたら合格はおぼつかないでしょうが・・・

難しいことを知っている先生が良い先生と誤解されがちですが、難しいことを簡単に説明する先生こそ貴重でしょう。

 

学校の検定教科書をバカにしないこと。

次に、小学校・中学校の学校教科書を基準にして勉強すること。
中学受験をする小学生は、たいてい小5で歴史を習いますから、小学校の勉強を甘く見て、適当に流します。

たしかに桓武天皇は出てこないし、足利尊氏って誰?ってレベルだし、記述内容は確かに薄い。
しかし、その結果、小6になって塾の内容は当然覚えておらず、学校の授業範囲でさえ覚えていない、というお子さんが出てきます。
そして訳の分からないまま、夏休みで一所懸命単語を「書いて覚える」という愚行をすることになる。
こうして「歴史はつまらない」「難しくてもういやだ」という人が量産されていきます(とくに女子)。

 

中学生も同様でして、小学校該当範囲の歴史が全く理解できていないのに、急に中学校レベルの勉強を端から詰め込もうとするから意味が分からなくなる。
中学生はさらに「世界」のお話がより詳しくなりますが、世界地理が分かっていないと世界の歴史も分からない。
フランスとドイツが隣にあるという事実を知らないのに、フランスとドイツが仲が悪いと言われても意味が分かるはずもありません。

社会の苦手なお子さんは、基礎的なことを大雑把に流しながら覚えていくのが良いのではないでしょうか。

 

書いて覚えるは暗記の一手段

それから、社会の勉強で書いて覚えるという間違った学習法が流行しているのですが、これはいい加減何とかならんのでしょうか。
たとえば、ポケモン100匹言える小学生が、書いて覚えますか?
ガンダムのモビルスーツを覚えるのに「ザク・ザク・ザク、100回書け!」いませんね。

「ラオウ・ラオウ・ラオウ」とか書いてあったら気でも狂ったのかと思いますよ。いや、それはそれで面白いけど。

 

それはそれとして、自分自身の経験で考えても、たとえば三国志の武将を覚えるのに「書いて覚える」なんて人、聞いたことがありません。
戦国時代だってそう。出世魚みたいにやたらと名前が変わる人がいますが、それだって書いて覚えますか?
何万編も書き写すと極楽浄土に行けるって、写経じゃないんだから・・・

「好きだから覚えられるだけでしょ!」なんて反論がありそうですが、

だったら興味を持てるように面白い話をしてあげればいいんじゃない?と再反論をしてみます。

「面白い」と言っても、きちんとした知識に基づいて本質を間違えてはいけないのですが。

 

それに、書くことをすべて否定するという過激なことは言いません。
自分の考えをまとめたり、他人に伝えようと思えば文章化する必要があります。

また、漢字練習だけは、手を動かして書かないと話にならないでしょう。

 

とはいえ、それは暗記の一手段であって、別のもっと楽なやり方もある、ということを少しは頭の片隅に置いておくべきでしょう。

 

ちなみに、私は授業中に常に口頭試問を繰り返すことで覚えてもらっています。

むかし、個別1対1で「口頭試問」をやっていたら、ある先生から「まるで尋問のようだ・・・」と若干引かれてしまったこともあるのですが。

 

 

 

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夏の植物観察

8月に入って夏真っ盛りというか暑い日が続くようになりました。

 

さて、夏の間に小学生にはぜひ見ておいてもらいたい植物があります。

それは、ヒマワリ、アサガオ、ヘチマ、オシロイバナ、ツユクサです。

 

「植物なんて役に立たないよ」なんて言わないで、よく見てみましょう。色々なことが分かります。

もしかしたら自然に対する興味がわいてくるかもしれません。

ちょっと暇つぶしに見てみてはいかがでしょうか。中学受験にも良く出題されますし。

 

下にポイントをちょこっと挙げます。

なお、解答は書きません。自分の目で現物を見るのが大切ですから。

 

 

  • ツルの巻き方

アサガオやヘチマのようなツル性の植物を見るときは、ツルの巻き方に注意して見てみましょう。

どのアサガオも同じ方へツルを巻いているでしょうか? また、ヘチマのツルと比べたらどうでしょう?

 

 

まず、どこから出ているのか。たとえばアサガオの花なら、葉っぱと茎の間から出ているのか、茎から出ているのか?

花の形にも注目。アサガオの花びらはどんな形で、花びらは何枚でしょう? ヒルガオとはどこが違うのか。

 

何時ごろに花が咲くのか、というのも確認しておきたいところ。

「朝の9時には咲いていたが、お昼には咲いていなかった」で構いません。

アサガオが朝に咲くのは当たり前だとして、何時まで咲いているんでしょう。

そういえば、オシロイバナはいつ咲き始めるのでしょう?

 

それから、一度咲いた花はいつまで咲いているのでしょうか。翌日もまた開くのか、それとも一回しぼんだら終わりなのか。

 
  • 葉っぱの付き方(葉序)

ヒマワリの葉っぱなどがそうですが、実はフィボナッチ数列になっています。どんな関係になるのかはよく観察してください。(フィボナッチ数列というのは、1,1,2,3,5,8,13・・・のように、数列の数が一つ前の数ともう一つ前の数を足した和になっているものです。算数の入試問題で出ることがあります。)

 

「フィボナッチ」などと難しいことを言わなくても、上の葉と下の葉が重ならないように規則正しく並んでいることは見て取れますので、色々な植物を見るだけでも面白いかもしれません。上の葉と下の葉が重ならないのはなぜか、と考えてみるのも良いでしょう。

 

 

 

せっかくの夏休みです。外へ出て色々観察してみてはいかがでしょう? 塾のテキストとにらめっこしながら「アサガオは上から見て左巻き!」などと無味乾燥に覚えるよりも、よほど面白いのではないでしょうか。ポケモン探しのついでにでもどうぞ。ただ、熱中症と交通事故にはくれぐれもお気をつけください。

 

 

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講習期間に無料体験はしてません。

夏期講習に限りませんが、石神井セミナーでは講習中には「無料体験」は実施しません。

その理由について、一応釈明?らしきものを書いておきます。

 

1.料金上の問題

かつて私の勤めていたところでは、夏期前半だけ無料で後半は有料という形式を取っていました。しかし、夏期前半とはいっても一ヶ月分の授業に相当しますので、二週間(半月分)無料体験を実施している他の お子さんとの釣り合いが取れないという問題があります。夏に体験した方が特じゃん。

2.なら「4日無料」にすれば良くね?

これはもっと問題です。
たとえば16日で完結するはずの指導を4日間しかやらないということは、4 分の1しか授業ができないということです。これじゃ夏休みに体験する意味がない。とはいえ先述の通り、前期全部というのはやりすぎでしょう。

 

だからといって、4日程度、中途半端に教えて「あとは勝手にどうぞ」っていうのも無責任でいい加減だなあと思うわけです。ならば全期間を有料にしてきちんと面倒をみようかなと。

3.テキスト代という罠!

小学生ですとテキスト代だけで4科だいたい4000円。この費用負担が問題になります。

「夏期無料」なんて言いながらテキスト代を頂くか、こちらで負担するかということです。

 

前者だと結局、有料になっているので無料じゃないだろ!と思いますし、 後者だと「塾が4000円支払って体験してもらうの?」という深刻な疑問が ・・・。

体験して決めてもらうというのは当たり前だと思います。でも、今なら 4000円進呈!というのは全く意味が分からない。我々の仕事はこちらが4000円払ってまで受けてもらうほど価値は低くないよ、それなら講師のボーナスにしますと言ってみたい。いや言っちゃったか。

4.講習ごとに無料体験しようという猛者!

本当にいるんです(笑)。

あんまり多いものだから、前のところでは「過去一年以内に体験していな いこと」なんて制限をつける羽目に・・・
そういうのに限って真面目に授業を受ける気がないですから(だってタダ だし)、他の子の迷惑になるケースが多いです。きちんと費用を負担して 通ってくる子に申し訳ないことになる。こういうと怒られそうですが、そういう「無料ハンター」の方はお断りです。まあ、私の場合ですと、あまりのやる気のなさにアタマにきて怒鳴りつけてしまい、結局、翌日から来ないのですが・・・

5.その他、よその塾への文句

「夏期に入塾したら入塾金無料!」
とやっている塾がありますがこれも意味不明で、「じゃあ普段の入塾金は 何なんだよ!」とツッコミを入れたくなるわけです。ペナルティー?
そもそも入塾金が何の費用なのか明確にしている塾なんてあるのだろうか・・・。つ Nバッグ代

 

イマドキあるのかどうか分かりませんが、「紹介で図書券〇円分進呈!」なんて、子どもをけしかけて生徒を集めようという何だそれはという塾もありまして、そういう塾は大問題だと思います。結局、その図書券は誰か他の生徒の授業料等ですから、周り廻って実は自分の入塾金でした、というオチ。だいたい、〇〇するとキャッシュバックなんて、どこかに必ず原資があるわけで、要はあとで徴収されるのです。特典でもなんでもありません(塾に限らず多いですね)。

 

ウソかホントかしらないが、入塾すると抽選で自転車だのが当たるのなんのと いうバカな塾(もうバカとしか言いようがない)もあるようですが、そんなもん毎月の授業料で徴収してるんでしょ?支出は広告宣伝費の名目で。 そんな無駄な支出するならコストカットして授業料下げたらいかがか。

 

朝三暮四じゃないんだから、そうやって入塾させるようなトリックはいい加減にして欲しいものです。

ということで、ウチは何の特典もありません ので悪しからず。

いや、「授業料を値上げしてノートとか消しゴムとか特典を付けてほしい!」というご要望が多ければ考えますけど。そんな人いるのかな。

 

 

6.石神井セミナーの特典

ところで、夏期に有料で通ってきて続けて入塾したい場合は、9月から通常通り授業料を取るのか?
という疑問があるかと思います。

 

この質問に対する答えはこうです。

他の方との整合性もありますので、9月半月は授業料免除にします (つまり2週間は授業料を取らない)。

当然ですが、冬期→1月や、春期→4月などにも適用します。

 

 
最近更新をサボっていたので何か、と思って書いたのですが、いや、随分と間が空いたワリにこの内容かよ、って言わないでください。

次はきっと真面目なことを書きます。たぶん。

 

 

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中1勉強法 英語編?

 

中学校に上がって初めて本格的に学ぶのが英語ですが、スタートの勉強法を間違えるとたちまち英語嫌いになります。

それを防ぐために中1で気にするべきは、ずばり「発音とスペル」です。

 

 

ヘボン式の呪い

小学校で誰でも習うものですが、これがまず最大の罠です。英語を暗号解読のように読もうとするのがアウト。なぜなら、ヘボン式は「かな文字をどのようにラテン文字で表記するか」のルールを決めたもので、「英語に対するカタカナの振り方」を表したものではないからです。

 

ところが多くの中学生がヘボン式に騙されて、「bus」はブスと書いてバスと読むとか、「take」タケでテイクだなと覚える。なんでこんな不合理なことになっているのでしょう。

 

 

そもそもの誤解は、英語をカナ表記しようとするところにあります。

前提として、英語はカナ表記できないということを認識する必要があるでしょう。だって、口の使い方が全く違いますから。たとえば、日本語の「ア」という発音がありますが、英語で対応する音は1つではありません。「cut」のア①と「cat」のア②、「car」のア③、全部音が全く違う。あるいは、「ラ」は、rでもlでもありません。ついでに言えば、「f」の音は日本語にはない音ですし、「t」もありません。プラスティックとするところをプラスチック、ティームをチームと発音するのは、対応する音がなかったからに他なりません(細かいことを言うと、日本語のタ行の音は舌先が歯に当たるが、英語のtはもっと上の歯茎に当たっている)。

 

このように、英語音を日本語音にするのは、口の使い方が全く違うために困難であること、これをまず理解しておく必要があります。そもそもヘボンさん自身が、自分の名前のカナ表記に失敗していることからも明らかでしょう。「Hepburn」、現代日本人なら「ヘップバーン」とカナを振りたくなるのではないでしょうか。

 

まずは基本ルールを覚えましょう

英語は表音文字ですので、アルファベットとルールが分かっていれば、大半の文字は読めるはず。しかし、英語発音は例外が多いうえに、日本人は表意文字である漢字を学んできた関係上、ついつい表意文字の覚え方をしてしまう。たとえば「cup」ならば、「uはア①で発音するからカップ」とルールに従って読めばいいところ、「cupという形はカップと読む」という一対一ひも付をする(しかもアが1音しかない)。英語のできない子の多くは、英文を表音文字ではなく表意文字と認識し、「読み方が分からないからできない!」という、何のためのアルファベットを学んだのか、ワケの分からないような状況があります。

 

caketakemakelake、などなどは共通のルール「エイ+ク」で読めます。漢字と同じように別々の意味を持つ文字列だと考えると、際限のない暗記地獄です。せめて漢字の形声文字と同じ程度(たとえば作と酢は「乍」からサクと読む)には、勘で読めてほしいもの。

 

ネイティブの発音を聞けばできるようになるものでもない

よくある誤解が「まずはネイティブ発音を聞け!」です。「鳥のように飛びたかったら、鳥の真似をして飛べ!」というくらいに間抜けです。どうやって音を出している分からないのだから、いくら聞いてもできません。英語好きが激減しそうなものです。カミカゼ・スコットランド兵じゃないんだから・・・

(ちなみに、低年齢の幼児なら発音を習得することはできるようです。)

 

学校で「ネイティブ連れてきて発音させたで、どやどや?」なんて授業をしていると、本気で心配になります。具体的な発音方法を教えた上でのことなら良いのですが。たとえば「lは、舌先を上の歯茎に当てて音を出す」という日本語との動作の違いを知る必要があります。違いを知って、自分である程度言えるようになってから、ネイティブ発音で磨きをかけるのは非常にいいと思うのですが・・・

 

当然ですが、ネイティブが日本人に教えるのは困難を極めるはずです。なぜなら、逆に、日本人がどうやって発音しているかの理解が難しいからです。「なんで言えないの? バカなの?」になってしまうのがオチでしょう。日本人がアメリカ人に「たたみ」とか「つなみ」とか言わせるのと同じくらいの困難さではないでしょうか。

 

 

いずれにせよ、日本語と英語とは音がえらく違うということをまずは理解しなくてはいけないでしょう。口の使い方が全く異なる。フランス語のrとか、ロシア語のxくらい日本語に全くない音であれば意識するのですが、英語はある程度親しみがあるので、違いが分からなくなってしまうのでしょうか。

 

 

 

具体的な勉強法

ぐだぐだ書いてしまいましたが、具体性に欠けました。私だったらどう指導するのか、一応書いてみます。

 

  • 「声に出す」こと。

音を区別して発音する癖をつけておくことが大切です。flrなど日本語にない音については特に意識をすること。また、短母音のiと長母音のiの音は全く違うので(healhillは長いか短いかではなく、むしろ音質が全く違う)、これを意識してほしいところ。それから、発音記号が読めるようになるとベスト。

 

  • ルールに従って発音すること。

表意文字ではないので、アルファベットには一定のルールがあります。これを覚えること。たとえばaならば、「cake」のようにエイで読む場合と、「cat」のように「ア②」音で読む場合があります。「all」ならオール、tをつければtallですし、cならばcallです。

 

  • 単語を覚える際には、ただ回数書くのではなく、音を意識して書くこと。

たとえば「カット」ならア①だから「u」を使う、「キャット」(本当はャの音はありえないのですが)ならア②だな、だから「a」などと考えること。間違ってもメイク→「マケ」→「make」の二重翻訳は禁止。当然ですが、表音文字なので、何十回も書いて覚えるというのは愚かです(とはいえ、そういう指導が多いのが実情ですが・・・)。「ダイコン」を覚えるのに20回も30回も書くとしたらおかしいでしょう?

 

 

 

なにやら中1英語の勉強法になっているか自信がなくなってきたのですが、いずれにせよ英語学習は、まず発音とアルファベットに注意した方が良いのは確かです。

3単現のsがどうしたなんて話は、後からどうとでもなります。

 

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新中1の勉強法(数学編)


中学校以降、特に苦手意識を持つ人が多いのが数学でしょう。
小学校のころは何とかなったが、中学に進学したらついていけなくなった、というのはよくある話です。

単元によって少しずつ苦手になっていきますが、その共通する原因は、小学校の学習が分かっていないことと、中学校の新しい概念が獲得できないことです。

 

算数→数学って何が違うのよ、なんて問題もありますが、それは一先ず措き、ダメになりがちな単元について書いていこうかと思います。

 

 

【つまずきやすい3つの単元】

① 正負の数

多くはありませんが、最初からアウト!というお子さんがいます。ここで計算ができないのは、小学校で計算力を十分に身につけていないことが原因です。たとえば、分数の通分ができないとか、分数のかけ算・割り算ができないとか、あるいは小数の足し算ができないような場合には、仮に正負の概念を理解できたとしても計算ができません。早急に計算練習が必要でしょう。

 

 

② 方程式の文章題

多くのお子さんは、計算は何とかなるものの、方程式の文章題で数学の苦手感を自覚することになるようです。方程式の計算は何とかなったのに、文章題となると全くできなくなる。

 

ここで、つい「応用力がない」と言いがちですが、それは間違いで、基礎力の不足が原因です。文字式についてきちんと理解しないまま、方程式の計算に逃げてしまう。そして計算の単元が終わって文章題に入ると、文字式の記述方法が分からずに挫折する。「基礎は分かっているが、才能がないので応用ができない」という発想はまず捨てましょう。才能のあるなしではなく、基礎の習得不足ですので、文字の概念と扱いを丁寧に教えてあげることで解消します。

 

また、小学校の学習が分かっていないことも原因になります。たとえば、「40kmの道のりを2時間で行ったら、速さは時速何kmになりますか?」という問に答えられない子が、「a kmの道のりを2時間で行ったら何km行ける?」という問いに答えられるはずがありません。そもそもa÷2が出てこない上に、a÷2をどう表記していいか分からない、ということになります。

 

③ 比例

二学期になってからですが、比例の単元もコケ易いところです。まず「座標」の考え方をすぐに習得できるかどうかによります。座標の意味が分からなければ、関数のグラフなんて全く理解できません。しかし、それよりも問題なのが、小学校で学ぶ比例の定義と、単位当たりの量という考えがある程度分かっていないことです。比例については、「年齢と身長は比例するか?」という質問に「Yes!」と答えたらアウトです。これも小学校の内容をきちんと見直さないといけないでしょう。

 

 

 

だいたい、上にあげた3つの単元で「数学は無理!嫌い!」が決定づけられてしまいます。その後の「図形」は苦手かどうか以前に、「やる気が失せて、もうできない」。一度嫌いになった教科は、やり直そうとしても相当に時間がかかります。それに、他の学習を優先してやらなくなりますので、ますますできなくなる。「嫌い!無理!」と言う前に、何らかの手を打ってあげた方が良いでしょう。

 

 

【つまずかないためには】

小学校の復習を少しずつやっていく以外にありません。
具体的には、まず中学校で習う前にちょっと先取りで勉強してみて、できないところがあれば原因までさかのぼって修正する、という方法が考えられます。

たとえば正負の数だったら、まずやってみて、
→ダメだった→分数の通分→ムリ→公倍数
→小数の計算→できない→小数の考え方 0.1とは何?

のようなイメージです。

 

目先のテストに合わせて、取れるところだけ取って誤魔化す方法もありますが、これは期末テスト等で良い点が取れたとしても、その後、さらに悪くなること間違いなしです。多くの個別塾では、目先のテストで点を取らせることを求められるので陥りがちです。テストで点が取れることと、単元が理解できていることは必ずしも同じではない、ということを知っておく必要があります。もちろん高校入試に当たって、通知表が悪ければ話にならないのですが、でも、その小手先の勉強では学力は伸びないというジレンマが・・・

 

 

【できる子も同様】

以上は、「できない子向け」と思われますが、むしろ勉強の得意なお子さんこそ注意が必要です。一見、できているように見えるので、「取りこぼし」が残ったまま先に進み、ある日突然、「できない・・・」になることがあるからです。

 

勉強な得意な子は難関の高校を目指すでしょうから、急にできなくなった時のダメージは大きい。中1くらいでは問題にはなりませんが、「ただ代数計算をしている子」は、中2の一次関数でひどい目に合うことが予想されます。もちろん問題は解けるのですが、異常に面倒な手順で解くようなことになります。これでは学校のテストは乗り切れても、高校入試は乗り切れません。基礎をおろそかにせず、原理原則を一つ一つ理解しておくことが大切です。

 

理解が怪しいなと思ったら、恥ずかしがらずバカにせず、「小学校の問題を解きなおすこと」から始めましょう。

 

 

次は英語について書いてみようかと思います(たぶん)。

 

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歴史を教えるむずかしさ

前々から気になっていたのですが、歴史を教えることの難しさです。

歴史にはさまざまな説があって、何が正しいのかなんて、誰にも分かりません。

だから、「自分は嘘を教えているかもしれない」と日々ドキドキしながら授業をすることになります。

 

そんな中で困るのが、意外に間違えた記述の多い予習シリーズです。

たとえば、「院政が始まると、上皇と天皇が対立するようになりました。これに藤原氏内部の争いが結びついて、1156(保元元)年、保元の乱が起こりました。」

などと書いてあるのですが、こう単純に書かれると非常に困惑してしまうのです。

だって、そんな「上皇と天皇の対立」という事実は、ほとんど見られないのですから。

 

白河上皇が1086年から「院政」を始めたことにするとして、

まず最初の堀河天皇は対立していない。

なぜなら、最初は摂関政治が機能していたし、上皇もあまりやる気ないですから。

その後、関白師通が若死にして、後継の忠実22歳が役に立たないために、

仕方なく白河院が天皇の相談に乗り始めて院政っぽくなりますが、やはり対立していたようには思えません。

 

その堀河天皇は20代で崩御して、次の鳥羽天皇は5歳ですので、これも白河と対立のしようがない。

しかも鳥羽天皇ときたら、20歳で位を追われていますので、対立と言えるかどうか。

次の崇徳天皇を即位させたところで白河が崩御して、鳥羽上皇の院政が始まりますが、

崇徳も23歳で位を追われるので、対立になっていない。院の権力が強すぎて対立のしようがないのです。

 

次の近衛天皇は病弱で、17歳で早世していますので、これも対立したと言って良いのか・・・?

で、ようやく後白河天皇が登場しますが、当然ながら鳥羽在世中は何の権限もないしやる気もないので、対立もしていない。

 

「天皇と上皇の対立」と言えるのは、保元元年の7月2日に鳥羽法皇が崩御して、

7月11日の乱の開始まで崇徳と後白河がにらみ合った時期であって、せいぜい10日くらいでしょう。

そう考えると、「天皇と院が長い間対立したために、乱が起こった」ように読める上記テキストの文章には困ってしまうのです。

その後の後白河と二条天皇の対立を勘違いしているのでしょうか・・・

 

まあ、学者でも研究者でもないので、私自身の理解は相当怪しいものですし、

そもそも、いちいちケチを付けていると際限がないのですが、ちょっと言ってみたかったんです。

他にも色々ありまして、あまりに酷い記述に絶句してしまうときもあるのですが、それは機会があれば。

 

 

ちなみに、私の院政の説明は、

「鳥羽上皇というとんでもない独裁者がいて、そいつがいきなり死んだもんだから、遺産をめぐって大騒ぎになった」です。

 

どこか間違えていたらごめんなさい。

春期講習が終わって調子に乗ってしまいました。

 

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都立一貫校に通わせる価値は?

 

平成28年度の入試でも全体で6.1倍、多いところでは8倍近い倍率がある都立一貫校ですが、難しい入試を受けてまで通わせる価値について、私は常々疑問を抱いています。

 

■偏差値と大学合格実績は?

まず入口の偏差値から見てみましょう。

合格目安 都立大泉 都立両国 日大第二 法政大学 明治学院 中大附属
首都圏模試 80% 60 64 52 61 49 60
四谷合不合 50% 51 54 39 48 39 47
Vもぎ 60% 59 62 62 63 61 65

※首都圏模試と合不合は中学受験の模試、Vもぎは高校受験の模試です。

 

注目してほしいのは、都立大泉と日大二中です。見ての通り、中学受験では10近い差があるのに、高校入試では逆転しています。また、中大附属との比較でも、同様です。入試の偏差値が下がっているということは、「人気がない」ということですので、何らかの問題があるのではないでしょうか。

 

そこで、大学合格実績を比べてみます(2015年のもの)。

都立中と、四谷大塚の偏差値帯(2015のもの)で近い私立中を選びました。なお、大泉や富士などは実績がまだ明らかではないので表には載せておりません。

偏差値は、小石川59、両国54、桜修館54、白鷗50、武蔵56(ただし、都立は男子の偏差値)

海城60、城北50、吉祥女子58、富士見47です。

 

  小石川 両国 桜修館 白鷗 武蔵
東大 9 3 3 1 4
国公立計 73 71 54 38 93
早慶上理計 164 96 78 63 142
GMARCH計 164 166 98 132 151
卒業生数(推定) 160 191 151 250 210
  海城 城北 吉祥女子 富士見
東大 56 8 5 0
国公立計 183 105 94 38
早慶上理計 394 323 283 123
GMARCH計 152 353 343 289
卒業生数(推定) 280 280 234 240

 

 

 

  小石川 両国 桜修館 白鷗 武蔵
国公立/卒業生数 45.6% 37.2% 35.8% 15.2% 44.3%
早慶上理/卒業生数 102.5% 50.3% 51.7% 25.2% 67.6%
GMARCH/卒業生数 102.5% 86.9% 64.9% 52.8% 71.9%
       
  海城 城北 吉祥女子 富士見
国公立計 65.4% 37.5% 40.2% 15.8%
早慶上理計 140.7% 115.4% 120.9% 51.3%
GMARCH計 54.3% 126.1% 146.6% 120.4%

 

衝撃的なのが都立小石川と海城で、入口の偏差値が1しか異ならないのに、東大ではどうにもならない差だし、国公立に至っては、小石川は海城の半分以下。しかも悲しいのが、MARCHクラスの合格割合が高いということ。つまり、難関大にチャレンジすらできず、その一つ下のレベルにしかチャレンジできていないということです。両国と城北、白鷗と富士見の比較でも、やはり入りにくいはずの都立の方が、出口の大学合格実績は半分以下になっています。

 

学校の価値は合格実績だけでは決められませんが、内部の教育力を測る一つの指標になることは確かです。「教育力という点において、都立一貫は私立一貫に劣る可能性が高い」と考えて良いのではないでしょうか。

 

このような理由から、私としては都立一貫校をお勧めできません。むしろ、そのような学力があるなら、区立中へ進学して都立日比谷とか西を目指した方が良いんじゃないかと思います。東京都が予算などで優遇しているのは、結局、進学重点指導校7校であって、都立一貫校はどうしても二番手扱いをされています。

 

 

■一定の魅力はあります。

たとえば学費という観点からは非常に魅力的です。私立中では初年度100万円~、3年で250万円~300万円を超えるところまでありますが、都立一貫校なら初年度2030万円程度、3年間でも100万円は超えないでしょう。区立中と比べると、比較的学力の高めなお子さんが集まり、なお高校受験に煩わされることなく中学校生活を送れるという点だけに着目すれば、悪い選択肢ではないと思います。たとえば大泉なら、広い校庭を使って部活を思いっきりやりたいなどという環境面でも良いのかもしれません。大学合格実績だけが人生の全てではありませんし。ただ、都立一貫校が、もし「大学合格実績を出します!」と言って生徒募集しておいて、こういう結果しか出せないのであれば、少し考えものですね。

 

 

 

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