コラム

中1勉強法 英語編?

 

中学校に上がって初めて本格的に学ぶのが英語ですが、スタートの勉強法を間違えるとたちまち英語嫌いになります。

それを防ぐために中1で気にするべきは、ずばり「発音とスペル」です。

 

 

ヘボン式の呪い

小学校で誰でも習うものですが、これがまず最大の罠です。英語を暗号解読のように読もうとするのがアウト。なぜなら、ヘボン式は「かな文字をどのようにラテン文字で表記するか」のルールを決めたもので、「英語に対するカタカナの振り方」を表したものではないからです。

 

ところが多くの中学生がヘボン式に騙されて、「bus」はブスと書いてバスと読むとか、「take」タケでテイクだなと覚える。なんでこんな不合理なことになっているのでしょう。

 

 

そもそもの誤解は、英語をカナ表記しようとするところにあります。

前提として、英語はカナ表記できないということを認識する必要があるでしょう。だって、口の使い方が全く違いますから。たとえば、日本語の「ア」という発音がありますが、英語で対応する音は1つではありません。「cut」のア①と「cat」のア②、「car」のア③、全部音が全く違う。あるいは、「ラ」は、rでもlでもありません。ついでに言えば、「f」の音は日本語にはない音ですし、「t」もありません。プラスティックとするところをプラスチック、ティームをチームと発音するのは、対応する音がなかったからに他なりません(細かいことを言うと、日本語のタ行の音は舌先が歯に当たるが、英語のtはもっと上の歯茎に当たっている)。

 

このように、英語音を日本語音にするのは、口の使い方が全く違うために困難であること、これをまず理解しておく必要があります。そもそもヘボンさん自身が、自分の名前のカナ表記に失敗していることからも明らかでしょう。「Hepburn」、現代日本人なら「ヘップバーン」とカナを振りたくなるのではないでしょうか。

 

まずは基本ルールを覚えましょう

英語は表音文字ですので、アルファベットとルールが分かっていれば、大半の文字は読めるはず。しかし、英語発音は例外が多いうえに、日本人は表意文字である漢字を学んできた関係上、ついつい表意文字の覚え方をしてしまう。たとえば「cup」ならば、「uはア①で発音するからカップ」とルールに従って読めばいいところ、「cupという形はカップと読む」という一対一ひも付をする(しかもアが1音しかない)。英語のできない子の多くは、英文を表音文字ではなく表意文字と認識し、「読み方が分からないからできない!」という、何のためのアルファベットを学んだのか、ワケの分からないような状況があります。

 

caketakemakelake、などなどは共通のルール「エイ+ク」で読めます。漢字と同じように別々の意味を持つ文字列だと考えると、際限のない暗記地獄です。せめて漢字の形声文字と同じ程度(たとえば作と酢は「乍」からサクと読む)には、勘で読めてほしいもの。

 

ネイティブの発音を聞けばできるようになるものでもない

よくある誤解が「まずはネイティブ発音を聞け!」です。「鳥のように飛びたかったら、鳥の真似をして飛べ!」というくらいに間抜けです。どうやって音を出している分からないのだから、いくら聞いてもできません。英語好きが激減しそうなものです。カミカゼ・スコットランド兵じゃないんだから・・・

(ちなみに、低年齢の幼児なら発音を習得することはできるようです。)

 

学校で「ネイティブ連れてきて発音させたで、どやどや?」なんて授業をしていると、本気で心配になります。具体的な発音方法を教えた上でのことなら良いのですが。たとえば「lは、舌先を上の歯茎に当てて音を出す」という日本語との動作の違いを知る必要があります。違いを知って、自分である程度言えるようになってから、ネイティブ発音で磨きをかけるのは非常にいいと思うのですが・・・

 

当然ですが、ネイティブが日本人に教えるのは困難を極めるはずです。なぜなら、逆に、日本人がどうやって発音しているかの理解が難しいからです。「なんで言えないの? バカなの?」になってしまうのがオチでしょう。日本人がアメリカ人に「たたみ」とか「つなみ」とか言わせるのと同じくらいの困難さではないでしょうか。

 

 

いずれにせよ、日本語と英語とは音がえらく違うということをまずは理解しなくてはいけないでしょう。口の使い方が全く異なる。フランス語のrとか、ロシア語のxくらい日本語に全くない音であれば意識するのですが、英語はある程度親しみがあるので、違いが分からなくなってしまうのでしょうか。

 

 

 

具体的な勉強法

ぐだぐだ書いてしまいましたが、具体性に欠けました。私だったらどう指導するのか、一応書いてみます。

 

  • 「声に出す」こと。

音を区別して発音する癖をつけておくことが大切です。flrなど日本語にない音については特に意識をすること。また、短母音のiと長母音のiの音は全く違うので(healhillは長いか短いかではなく、むしろ音質が全く違う)、これを意識してほしいところ。それから、発音記号が読めるようになるとベスト。

 

  • ルールに従って発音すること。

表意文字ではないので、アルファベットには一定のルールがあります。これを覚えること。たとえばaならば、「cake」のようにエイで読む場合と、「cat」のように「ア②」音で読む場合があります。「all」ならオール、tをつければtallですし、cならばcallです。

 

  • 単語を覚える際には、ただ回数書くのではなく、音を意識して書くこと。

たとえば「カット」ならア①だから「u」を使う、「キャット」(本当はャの音はありえないのですが)ならア②だな、だから「a」などと考えること。間違ってもメイク→「マケ」→「make」の二重翻訳は禁止。当然ですが、表音文字なので、何十回も書いて覚えるというのは愚かです(とはいえ、そういう指導が多いのが実情ですが・・・)。「ダイコン」を覚えるのに20回も30回も書くとしたらおかしいでしょう?

 

 

 

なにやら中1英語の勉強法になっているか自信がなくなってきたのですが、いずれにせよ英語学習は、まず発音とアルファベットに注意した方が良いのは確かです。

3単現のsがどうしたなんて話は、後からどうとでもなります。

 

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新中1の勉強法(数学編)


中学校以降、特に苦手意識を持つ人が多いのが数学でしょう。
小学校のころは何とかなったが、中学に進学したらついていけなくなった、というのはよくある話です。

単元によって少しずつ苦手になっていきますが、その共通する原因は、小学校の学習が分かっていないことと、中学校の新しい概念が獲得できないことです。

 

算数→数学って何が違うのよ、なんて問題もありますが、それは一先ず措き、ダメになりがちな単元について書いていこうかと思います。

 

 

【つまずきやすい3つの単元】

① 正負の数

多くはありませんが、最初からアウト!というお子さんがいます。ここで計算ができないのは、小学校で計算力を十分に身につけていないことが原因です。たとえば、分数の通分ができないとか、分数のかけ算・割り算ができないとか、あるいは小数の足し算ができないような場合には、仮に正負の概念を理解できたとしても計算ができません。早急に計算練習が必要でしょう。

 

 

② 方程式の文章題

多くのお子さんは、計算は何とかなるものの、方程式の文章題で数学の苦手感を自覚することになるようです。方程式の計算は何とかなったのに、文章題となると全くできなくなる。

 

ここで、つい「応用力がない」と言いがちですが、それは間違いで、基礎力の不足が原因です。文字式についてきちんと理解しないまま、方程式の計算に逃げてしまう。そして計算の単元が終わって文章題に入ると、文字式の記述方法が分からずに挫折する。「基礎は分かっているが、才能がないので応用ができない」という発想はまず捨てましょう。才能のあるなしではなく、基礎の習得不足ですので、文字の概念と扱いを丁寧に教えてあげることで解消します。

 

また、小学校の学習が分かっていないことも原因になります。たとえば、「40kmの道のりを2時間で行ったら、速さは時速何kmになりますか?」という問に答えられない子が、「a kmの道のりを2時間で行ったら何km行ける?」という問いに答えられるはずがありません。そもそもa÷2が出てこない上に、a÷2をどう表記していいか分からない、ということになります。

 

③ 比例

二学期になってからですが、比例の単元もコケ易いところです。まず「座標」の考え方をすぐに習得できるかどうかによります。座標の意味が分からなければ、関数のグラフなんて全く理解できません。しかし、それよりも問題なのが、小学校で学ぶ比例の定義と、単位当たりの量という考えがある程度分かっていないことです。比例については、「年齢と身長は比例するか?」という質問に「Yes!」と答えたらアウトです。これも小学校の内容をきちんと見直さないといけないでしょう。

 

 

 

だいたい、上にあげた3つの単元で「数学は無理!嫌い!」が決定づけられてしまいます。その後の「図形」は苦手かどうか以前に、「やる気が失せて、もうできない」。一度嫌いになった教科は、やり直そうとしても相当に時間がかかります。それに、他の学習を優先してやらなくなりますので、ますますできなくなる。「嫌い!無理!」と言う前に、何らかの手を打ってあげた方が良いでしょう。

 

 

【つまずかないためには】

小学校の復習を少しずつやっていく以外にありません。
具体的には、まず中学校で習う前にちょっと先取りで勉強してみて、できないところがあれば原因までさかのぼって修正する、という方法が考えられます。

たとえば正負の数だったら、まずやってみて、
→ダメだった→分数の通分→ムリ→公倍数
→小数の計算→できない→小数の考え方 0.1とは何?

のようなイメージです。

 

目先のテストに合わせて、取れるところだけ取って誤魔化す方法もありますが、これは期末テスト等で良い点が取れたとしても、その後、さらに悪くなること間違いなしです。多くの個別塾では、目先のテストで点を取らせることを求められるので陥りがちです。テストで点が取れることと、単元が理解できていることは必ずしも同じではない、ということを知っておく必要があります。もちろん高校入試に当たって、通知表が悪ければ話にならないのですが、でも、その小手先の勉強では学力は伸びないというジレンマが・・・

 

 

【できる子も同様】

以上は、「できない子向け」と思われますが、むしろ勉強の得意なお子さんこそ注意が必要です。一見、できているように見えるので、「取りこぼし」が残ったまま先に進み、ある日突然、「できない・・・」になることがあるからです。

 

勉強な得意な子は難関の高校を目指すでしょうから、急にできなくなった時のダメージは大きい。中1くらいでは問題にはなりませんが、「ただ代数計算をしている子」は、中2の一次関数でひどい目に合うことが予想されます。もちろん問題は解けるのですが、異常に面倒な手順で解くようなことになります。これでは学校のテストは乗り切れても、高校入試は乗り切れません。基礎をおろそかにせず、原理原則を一つ一つ理解しておくことが大切です。

 

理解が怪しいなと思ったら、恥ずかしがらずバカにせず、「小学校の問題を解きなおすこと」から始めましょう。

 

 

次は英語について書いてみようかと思います(たぶん)。

 

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歴史を教えるむずかしさ

前々から気になっていたのですが、歴史を教えることの難しさです。

歴史にはさまざまな説があって、何が正しいのかなんて、誰にも分かりません。

だから、「自分は嘘を教えているかもしれない」と日々ドキドキしながら授業をすることになります。

 

そんな中で困るのが、意外に間違えた記述の多い予習シリーズです。

たとえば、「院政が始まると、上皇と天皇が対立するようになりました。これに藤原氏内部の争いが結びついて、1156(保元元)年、保元の乱が起こりました。」

などと書いてあるのですが、こう単純に書かれると非常に困惑してしまうのです。

だって、そんな「上皇と天皇の対立」という事実は、ほとんど見られないのですから。

 

白河上皇が1086年から「院政」を始めたことにするとして、

まず最初の堀河天皇は対立していない。

なぜなら、最初は摂関政治が機能していたし、上皇もあまりやる気ないですから。

その後、関白師通が若死にして、後継の忠実22歳が役に立たないために、

仕方なく白河院が天皇の相談に乗り始めて院政っぽくなりますが、やはり対立していたようには思えません。

 

その堀河天皇は20代で崩御して、次の鳥羽天皇は5歳ですので、これも白河と対立のしようがない。

しかも鳥羽天皇ときたら、20歳で位を追われていますので、対立と言えるかどうか。

次の崇徳天皇を即位させたところで白河が崩御して、鳥羽上皇の院政が始まりますが、

崇徳も23歳で位を追われるので、対立になっていない。院の権力が強すぎて対立のしようがないのです。

 

次の近衛天皇は病弱で、17歳で早世していますので、これも対立したと言って良いのか・・・?

で、ようやく後白河天皇が登場しますが、当然ながら鳥羽在世中は何の権限もないしやる気もないので、対立もしていない。

 

「天皇と上皇の対立」と言えるのは、保元元年の7月2日に鳥羽法皇が崩御して、

7月11日の乱の開始まで崇徳と後白河がにらみ合った時期であって、せいぜい10日くらいでしょう。

そう考えると、「天皇と院が長い間対立したために、乱が起こった」ように読める上記テキストの文章には困ってしまうのです。

その後の後白河と二条天皇の対立を勘違いしているのでしょうか・・・

 

まあ、学者でも研究者でもないので、私自身の理解は相当怪しいものですし、

そもそも、いちいちケチを付けていると際限がないのですが、ちょっと言ってみたかったんです。

他にも色々ありまして、あまりに酷い記述に絶句してしまうときもあるのですが、それは機会があれば。

 

 

ちなみに、私の院政の説明は、

「鳥羽上皇というとんでもない独裁者がいて、そいつがいきなり死んだもんだから、遺産をめぐって大騒ぎになった」です。

 

どこか間違えていたらごめんなさい。

春期講習が終わって調子に乗ってしまいました。

 

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