コラム

睡眠時間と学力

 

「成績を向上させたければ、よく寝る!」これはもはや常識と言っていいでしょう。ところが、「四当五落」とばかり、寝ずの勉強を強いる塾が、未だに存在するのは実に困ったことです。

 

 

【睡眠時間が長いほど学力は高い】

各所でもう散々論じられているので簡単に言いますが、

「小学生なら8時間、中学生なら7時間くらいの睡眠時間の生徒の学力が高い」ということです。

 

根拠を二つほど挙げておきます。

文部科学省「学力格差にどう立ち向かうか」(長いので、「睡眠」で検索をかけると良いでしょう)

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/sonota/08013006/003/014.htm

滋賀県総合教育センター

http://www.shiga-ec.ed.jp/manabi-shiga/data/pdf/naze9.pdf

 

なぜ寝ると学力が伸びるのかについては、「脳の疲労が減少して認知能力が向上する」、「脳は寝ているときに記憶を整理するので前日に覚えたことがきちんと定着する」などの様々な説がありますが、いずれにせよ、適切な睡眠を取った方が学力は高くなることは事実と考えていいでしょう。「寝る子は育つ」です。

 

 

【なぜ睡眠時間を削ろうとするのか!?】

子どもたちの学力を伸ばすための学習塾が、なぜマイナスの効果しかない行為を奨励するのか、常々疑問に思っているのですが、いくつか仮説を立ててみました。

 

①そもそも学力と睡眠時間の相関について、全く認識がない。

②睡眠が大切なことは知っているが、宿題をたくさん出した方が塾っぽく見えるので。

③睡眠が大切なことは知っているが、たくさん通わせると授業料収入が増えるので、通塾時間を伸ばしたい。

 

だんだんとロクでもない理由になってきてしまいますが、実際にありそうで怖いところです。まあ、半ば冗談のような話はともかく、子どもの学力を伸ばし健全な成長を目指すはずの学習塾が、訳の分からない長時間学習を強いて子どもたちを不健康にし、学力をむしろ低下させている現状には憂いを感じます。

 

 

【限度を超えて勉強はさせないこと】

では、塾の宿題が終わらないとき、どうするのが正解でしょうか?

私は、「宿題なんか捨てて、とっとと寝てしまえ」と指導?しています。本来は30分で終わるものを2時間もかけてやるのは時間の無駄です。そもそも出しすぎる方が阿呆なのであって、様子見ながら減らせよ、なんて思ってしまいます。それができないのが大手塾のマニュアル講師なんですけどね。

 

日本人の悪い癖なのか何なのか、「資源には限りがある」という発想が希薄なように思えます。企業でもそうですが、「有限なリソースをどう使って成果を上げていくか」が問題になるはずです。子どもの勉強も基本的な構造は同じで、たとえば8時間の睡眠は必要な経費として確保したうえで、勉強のリズムを組み立てていく必要があるのではないでしょうか。

 

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進学塾石神井セミナー
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住所:東京都練馬区石神井町2-33-27
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中学入試に「失敗」してしまった場合

どんな入試も、学力の伯仲する競争です。実力があっても不合格になるのは珍しいことではありません。特に中学入試の場合、受験生がまだ幼いこともあって、模擬試験で「合格可能性80%」だったとしても、なぜか落ちる。合格したお子さんは万歳で良いですが、不本意な結果に終わったお子さんには、フォローが大切です。

 

■滑り止めの学校を見下してはいけません

実力のあるお子さんが第一志望に落ちて、滑り止めの学校に行かざるを得ない場合、「こんな低レベルの学校に通うつもりはなかったんだ」というマイナス思考に陥ることはよくあることです。子どもだけでなく、親も一緒になって「こんな学校ねえ、でも公立に行くよりは・・・」と後ろ向きになりがちですが、これは絶対にいけないことです。

 

なぜなら、内心でバカにしているようでは、学力は伸びないからです。「お世話になる先生」を軽く見て、授業をきちんと聞けますか? アドバイスを素直に受け入れられますか?

 

多くの中学校が第一志望を優遇しているのはなぜでしょう?

それは、「この学校好きだな」という生徒の方が伸ばしやすいからです。学校が好きだと思えば授業はきちんと聞きますし、行事にも身を入れて参加するでしょう。まわりの生徒にも確実に良い影響があります。小学校での多少の学力差は、中学校から高校にかけて、逆転可能なものです。それなのに、学校の先生方を軽く見て、同級生を見下すようなら、学力でもすぐに抜かれてしまいます。それに、他人を見下して、自分を特別扱いする人間なんて、大人になってからロクなことがありません。

 

将来に影響が大きいのは、小学校ではなくて、明らかに中高6年間です。「受験では不本意な結果だったけど、縁あってこの学校に入れてよかったな」とスタートで思うことが大切です。

 

 

■大事なのは「今後」です

中学入試が終わって、全て終了するのは塾の先生だけです。合格実績を出すことに血道を上げる大手塾ほど、「その後」をあまり考えていません。だって、合格さえすれば、その後は関係ないのですから。「おめでとう、よかったね」で終わりです。中学で落ちこぼれたとか、そんなことはどうでも良い。むしろ学校での成績が悪い方が、継続して通ってくれてありがたい、まであるかもしれません。

 

しかし、中学校に通う本人や親にとって大事なのは、「入学後の6年間」であって、それは人生の方向性を決定づけるほどの影響力があります。当然、中高一貫校に入るからには大学入試もするでしょうし、大人になってから、今後70年も80年も生きていくことになるのです。中学受験で失敗して、さらに中高6年間もスタートからダメなんて、こんな間抜けな話はないでしょう。

 

不本意な結果に終わった場合は、「第一志望は残念だったけど、良い学校に引っかかって運が良かったね」とお子さんに声をかけてあげてはどうでしょうか。内心の不満が残ったとしても、「良い学校だ」を連呼するくらいの勢いで中学校を褒めてください。それだけでも中学校での生活が変わってくるはずです。

 

 

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合格実績って本当なのですか?

毎年、各塾が競っているのが「合格実績」ですが、これが実に胡散臭い

せっかくなので、なぜ怪しいかを書いてみます。

 

合格実績をすべて足すと学校発表を越えてしまう

まず、昨年度の開成と桜蔭の合格実績を見てみましょう。

四谷大塚、早稲田アカデミー、SAPIX、日能研の合計です。根拠は各塾のホームページからです(12/7閲覧)。

 

合格者数(4塾合計)→開成452、桜蔭329

合格者数(学校発表)→開成395、桜蔭271(補欠28

 

不思議なことに、4つの塾の合格実績を足しただけで、補欠を込みにしても、学校発表の合格数を軽く越えてしまうのです。塾は他にもありますので、各塾の合計数を足した場合、実際の合格数の1.5倍ぐらいになってしまうのではないでしょうか。仏舎利みたいですね。

 

学校発表が間違いだとか、合格していないのに合格していると報告をするとか、常識的にはあり得ない可能性を排除すると、考えられることは、どこかの塾が(あるいは全ての塾が)、実際よりも合格実績を水増ししているということです。ただし、明らかに相手を騙そうとか、そういうことを考えているわけでもないでしょう。

 

 

■では、なんでそんなことになるの?

多くはダブルカウントが原因ではないでしょうか。

たとえば、クラス授業でA塾に通いながら算数だけ個別でB塾に通った場合に、A塾・B塾の両者が数えることによって発生します。同じ人物が二回数えられてしまうということですね。

 

なお、四谷大塚については信頼性が高いと考えています。というのも、生徒個人名と合格校を紐付しているので、ダブルカウントを起こしにくいからです。ただし、加盟塾全体を合計しているので、四谷大塚本体の実績ではないことも付記しておきます。

 

一方で怪しいのは、○○×××××で、これは実際に私の教えていた生徒がそうだったのですが、模擬試験を受けて、数回ほど選択講座に通っただけでカウントされていました。小学校名とイニシャルを広告に出していたからおそらく数えたんだろうな、程度ですが。

 

中学校側に、「どの塾から何名です」と発表していただけると、「おいおいおい」となって楽しそうですが、色々と問題が出てしまうので、真相は闇の中のままなんでしょうね。

 

1つ言えることは、合格実績で水増しが行われているのは事実ですので、塾の合格実績なんて割り引いて考えましょう、ということです。全体として見ると、明らかに嘘があり、どこかの塾に景品表示法違反(誇大広告)の疑いがありますが、順法意識の薄い塾業界のこと、仕方のないことかもしれませんね。

 

 

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入試応援の難しさ

2/1になると、どこの塾も総出で(?)入試応援に繰り出しますが、これが意外に難しい。

 

■会えない可能性はある

開門前から待機していても会えないことがあります。いろいろな要因がありますが、なぜか見落とすことがあるのです。あとで確認をすると、間違いなく同じ時間にその場にいたはずなのに、なぜか会えない。会えないと「お前サボっただろ」疑惑になるので、一生懸命、「何時に現着」「どこの塾が何人来ていた」などと説明することになります。なら、はなっから時間決めておけよと言われそうですが、なかなか前もって約束するわけにもいきません。

 

というのは、「事前に行くよ」などと言っておいても会えないことはあり、会えないことでお子さんが不安になってしまいます。また、「行く」と言ってしまうと「先生探さなきゃ」という妙なプレッシャーがかかります。そこで、こっそり待ち伏せしてビックリさせるということになるのですが、なかなか難しいですね。

 

 

■実は労働法上の問題もある!

大手塾なんかどうしているか不思議なのですが、「法律の罠」がありまして、先生に入試応援に行ってもらうと労働基準法違反になる可能性があります。

古い体質の人ですと、「応援なんか無給だろ。交通費くらいは考えてやろう」「生徒のことを考えたら、行かないのは人間としてあり得ない!」などという発想になる(というか実際に口走る)のですが、塾の方針で「行ってください」とお願いしてしまうと、応援待機の時間も労働時間になってしまうため、給与を支払わないといけない。場合によっては残業代も出さないといけない。そもそも契約上、応援に行かなくてはいけない義務はないのでは・・・という問題すらある。2月の中学入試で塾の先生が並んでいたら、「残業代大丈夫かなあ」などと考えてしまうと面白いかもしれません。世知辛い話ですなあ。(堀口)

 

 

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